Paris Music Tour

パリの音楽について書いていきます。

内容が変わります。

1年近く更新をしていませんでした。読者のみなさま申し訳ございません。いろいろな事が私の周りで起きて前のようにハイテンションで音楽の歴史を紹介できそうにないので自分のことをだらだら書いていきます。

この1年で私は大学の音楽歴史科を卒業し、そのままカナダ・ケベック州に残ることにしました。しかしビザを取ることが難しくビザがなければ仕事もできません。そこで噂で聞いた朝5時のトラックに乗り日雇い労働ができると言う噂の場所に行ってみました。

噂のトラックは5時15分に現れ何も言わずに私を荷台に載せます。私の他に7〜8人の黒人の女性達が乗っていました。大柄な彼女達は僕が乗るのを見て前よりも大幅にスペースを取り、言葉の通じない私に無言の圧力をかけてきます。後から知ったのですが彼女達はコンゴ出身の不法滞在者、スワヒリ語を話すので私には全く理解できませんでした。

トラックは30分くらいでこぼこ道を進み畑のど真ん中で私たちを下ろします。説明も無しに私たちはトラックから降ろされ私はみんなが向かう畑の方へ続いて歩きみんなと同じようなことを真似しながら作業をしていきます。初日は何もわからなく質問もできない状況でした。9時間ほど作業をしたらまたトラックが同じ場所に到着し、私たちを乗せて同じ場所に帰っていきます。

次の日も、また次の日も同じようなことを繰り返していきました。1週間ほどで$300が入った封筒を渡されます。日給$50ほどです。お手洗いもなければ水道もなし、屋根もなければ椅子もない職場でしたがお仕事がもらえるだけ幸せでした。ちなみに雨が降った日はトラックはきません。

1週間もすると体力的にも精神的にも疲れてしまいます。一人だけ人種が違う中で会話もできず自分が何の作業をしているのか全くわからないのでとても苦しかったです。なのでポケットにiPhoneを入れて音楽をスピーカーで流しながら作業することにしました。

9時間の苦しい作業なので時間の長い交響曲を中心に流しました。畑仕事しながら聴くベートーベンの「田園交響曲」やマーラーの「大地の歌」は普段とは違い彼らがコンサートホールで表現したかった物の中で彼らの曲を聞いているような不思議でとても気分が良く特別な気持ちになれました。

次の週には畑のオーナーが他の曲は流せないか?みたいなことを言われたので私は「Nights in White Satin」「A Whiter Shade of Pale」そして「Every Christian Lion Heated Man Will Show You」を流しました。

オーナーは少し悲しい顔をした後に笑顔で、つたない英語で、嬉しそうに「これは僕が若い頃に踊った曲だ」と行って立ち去り次の日から私のことを「TOYOTA!」と呼び、畑に迎えてくれました。