Paris Music Tour

パリの音楽について書いていきます。

現代音楽曲者図鑑 part 1: エリック・サティ

芸術家や音楽家には奇人・変人が多いですが彼を超えるのは難しいでしょう。

2017年 ver. で言うと

空前絶後のぉ!

超絶怒涛の変人音楽家!!

クレイジーを愛し クレイジーに愛された男!

無調! 適当!  嫌がらせ!

全てのクレイジーの生みの親!!

そう 彼こそはぁぁぁ!!

エリィィィィィィック・サティ!

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「イエェェェ〜イ!」

 

彼についての記事です。

 1866年5月17日に生まれたエリック・サティ。まさに世はロマン派後期です。ブラームスワグナーがブイブイ言ってて、ボヘミア出身ドボルザークマーラーが愛国心高めきってて、チャイコフスキーが音楽の道に進み始めた時にエリック・サティは生まれました。

詳しくはこちら...

1879年、パリ音楽院に入学したエリック・サティ。しかし7年後には「退屈すぎ」って理由で辞めちゃいます。退屈すぎるのも当然、彼の頭の中では何十年も先の音楽が流れていたのだから。時代が彼に全く追いついていなかったのです。

そんなエリック・サティなぜか友達には恵まれていて学生時代に出会ったクロード・ドビュッシーモーリス・ラヴェルと交友を続けるどころか影響まで与えてました。

エリック・サティがいなければあの美しすぎるドビュッシー印象派音楽は生まれなかったでしょう。クロード・ドビュッシーについてはまた別の記事で...

パリ音楽院を辞めたあとしばらく酒場のピアノ弾きなどで生計を立てながら作曲していました。学校を辞めてから1年後に作曲した「ジムノペディ」はセンセーションとなり彼の評判はとても良かったそうです。

「ジムノペディ」は後にドビュッシーにオーケストラ編曲され世界的に有名になりました。

個人的にはオリジナルのピアノ独奏が好きです。

他にも詩人のジャン・コクトーや画家のピカソ、秘密結社「薔薇十字教団」の創始者とも交流があったそうです。サティは魅力的な人物であったに違いません。

心理学を勉強しているのであれば彼について調べてみてはどうだろう?

そして1904年、エリック・サティ (38歳独身)スコラ・カントルムというパリにある音楽学校に入学しました。理由は「パリ音楽院に対抗するためにできた学校だから」だそうです。しかし翌年コンサートホールで雨傘を武器に決闘し警察に捕まっています。エリック・サティ (39歳独身)...

ちなみに1918年、彼が52歳の時に卒業しています。

この頃から彼の音楽性はクレイジーを増していきますがその前からクレイジーです。

いくつか曲を紹介していきます。

 

 

 

ヴェクサシオン (1893-95)

直訳では「嫌がらせ」という意味です。

1分ほどの長さの簡単なピアノフレーズを840回繰り返すというものです。

しかもすっとこどっこいサティさん、故意かミスか分かりませんが速度記号が書かれてません。なので速さはお任せで弾いてください。そして楽譜に「大体こんな感じで弾け」のようなことが書いてあるので疲れて間違えた時は気にしないでください。

自分の通っている大学でも一度演奏されました。朝の8時から始まり、20人が10回ずつ弾いては交代のローテーションで15時間ほどかけて間奏しました。

もし週末にやることがなければトライしてみては?


[フルバージョンは見つけられませんでした。楽譜を見てわかる通り小節すらないです。]

 

胎児の干物 (1913)

三楽章からなるピアノ独奏曲です。曲自体は普通です、サティの曲の中では。

しかし楽譜に散りばめられた音楽ジョークがクレイジーです。

第1曲「ナマコの胎児」では冒頭に「わたしはサンマロ湾でナマコを観察した…」と。演奏指示では「歯の痛いナイチンゲールのように」などというどうすりゃいいのかわからない指示が下されます。

第2曲「エビの胎児」では中間部で「シューベルトのマズルカから引用」と書かれている場所がありますがシューベルトマズルカという曲はありません。しかもそのフレーズはショパン「葬送行進曲」からの引用です。適当なだけでなく嘘までついています。

第3曲「カタツムリの胎児」では曲の最後に「作曲者からの強制的終了」という指示があります。しかも楽譜に終始線がありません。曲が終わったのか演奏者にもお客さんにもわからないです。クレイジーすぎます。

楽譜の指示は全てフランス語なので飛ばし気味ですが日本語に翻訳した物も探せばあると思います。それでもわからない場合はコメントで聞いてください。

 

本日休演 (1924) 

エリック・サティ 最後の曲です。翌年1925年エリック・サティは亡くなりました。

「本日休園」は形式上バレエ音楽ですが舞台芸術なのかどうかも怪しいです。音楽、振り付け、ダンス、歌,  etc... 全て即興で行われ、舞台上では370枚の鏡を背景のほかには何も決まっていなく「観客には耳栓とサングラスを用意しとけ」以外知らされず実際に鏡の反射で客席からは何も見えなかったそうです。

これこそサティ最高/最低傑作だと思います

 

最後に

3曲だけ紹介しましたがほかにもクレイジーな曲で溢れています。この記事で興味を持っていただけたら彼の世界をもっと覗いてみてください。

近年ではクレイジーな曲が溢れています、が!前にも紹介したようにエリック・サティ、全てのクレイジーの生みの親です。そしてジムノペディのような美しい旋律も彼から生まれました。

伊福部昭が彼を紹介したように

「人類が生みえたことを神に誇ってもよいほどの逸材」だったのでしょう。

 

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