Paris Music Tour

パリの音楽について書いていきます。

オペラの誕生:カメラータ「めっちゃかっこいい劇できた!」

オペラの誕生は作られたもの、自然にできたものではありません。

1575から1599年、ルネサンス時代イタリアフィレンツェカメラータっていうグループがバルディさん家に夜な夜な集まって「かっこいい劇作ったる!」って意気込んで生まれたのがオペラ。そのカメラータには当時の優れた芸術家、音楽家、詩人や発明家みたいなリア充がたくさんいたわけです。

そもそもルネサンス時代というのは古代ギリシャかっこよすぎ、ってか哲学も天文学もかなりやばい。俺たちもやるっきゃないって感じで始まった時代なのでギリシャ神話にまつわる作品が掃いて捨てるほど生まれたわけです。*行き過ぎたノスタルジアですね。

そう言ってもカメラータが古代ギリシャ人の事を知ってるわけありません。ローマ帝国が全部破壊しました。ギリシャ語が読めたとしても古代ギリシャ人の発音を真似できるわけありません、だって誰も知らないんだもん。だから劇はイタリア語でギリシャ神話中心に(それくらいしか資料がないので)それだけではなくギリシャ人哲学者プラトンの教え、「音楽の力」を借りて劇を盛り上げよう。そんなこと言っても古代ギリシャの楽譜もなければCDもないのでここは妄想で仕上げました。カメラータが20年近く考えた「古代ギリシャ人なら多分こんな感じで劇やった!」これがオペラです。

現存している最古のオペラは1600年に公演されたエウリディーチェっていうものでカメラータのメンバー、ヤコポ・ペーリが作曲しました。

物語はギリシャ神話のエウリュディケが元になっています。簡潔に言うとエウリュディケとオルフェウスの結婚初夜、妻のエウリュディケが蛇に噛まれてお陀仏。オルフェウスが死後の世界に行って妻を返してくれとハデスに懇願。泣きながら叫ぶオルフェウスにハデスは「エウリュディケと一緒に帰れ、でもトンネルを抜けるまで絶対に振り返っちゃダメだよ。」と。「千と千尋の神隠しか!」突っ込みたくなるのを我慢してオルフェウスはルンルン帰ってくわけですが最後の最後にチラッと振り返ったのがバレて八つ裂きにされてしまう。そんなお話です。

現存している最古のオペラ、そしてカメラータの「僕らが作った最強劇」なので聞いてみてはいかがだろうか。当時の再現とは程遠いだろうがYouTubeで聞くことができます。

1608年にオペラに必要なすべての基盤、約400年後の現在まで全く変わらないオペラのルールを作り上げたモンテベルディの「l'Orfeo」(オルフェウス) が作られましたがそれはまた別のお話。(ストーリーはほぼ一緒です。)

 

*ノスタルジアとは自分がぶっ壊しておいてまた欲しくなっちゃうけどもうどうしようもない状態のこと。

 


Peri, L'Euridice, Prologo "La Tragedia" e Coro "Se de' boschi" 

(エウリディーチェ: プロローグ)

 

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックの豆知識へ   にほんブログ村 音楽ブログ 音楽の豆知識へ   にほんブログ村 教育ブログ 音楽科教育へ